競馬では、ゴール板を駆け抜ける競走馬の姿に多くの人が感動します。しかし、レースを引退した後の「その後の馬生」について知る機会は意外と多くありません。
競走馬は引退した瞬間に役目を終えるわけではなく、繁殖馬や乗馬、ホースセラピー、功労馬など、それぞれ新しい役割を担いながら人生を歩み続けます。一方で、すべての馬が理想的なセカンドキャリアへ進めるわけではないという現実もあります。
この記事では、競走馬の引退後にどのような進路があるのか、公的機関や引退馬支援団体が公表している情報をもとに、できるだけ客観的にわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 競走馬が引退した後の主な進路
- セカンドキャリア(繁殖馬・乗馬・ホースセラピー・功労馬)の役割
- 引退後に抱える課題と現在の支援の取り組み
- 競走馬の引退後について知ることが大切な理由
競走馬は引退するとどうなる?
競走馬は、現役生活を終えると、それぞれの能力や健康状態、血統、性格などに応じて新しい馬生を歩みます。
🏁 レース引退
🌱 繁殖馬
🏇 乗馬
🤝 ホースセラピー
🌿 功労馬
🐴 その他
「引退=終わり」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際にはさまざまな進路があり、人や社会を支える存在として活躍する馬も少なくありません。
| 主な進路 | 内容 |
|---|---|
| 繁殖馬 | 種牡馬・繁殖牝馬として次世代へ命をつなぐ |
| 乗馬 | 乗馬クラブ・馬術競技・観光乗馬など |
| ホースセラピー | 福祉・教育・地域交流などで活躍 |
| 功労馬 | 牧場で穏やかな余生を送る |
| その他 | 地方競馬・用途変更など |
競走馬によって歩む道は異なりますが、引退後も人との関わりの中で新しい役割を担う馬が数多くいます。近年はJRAや引退馬支援団体による取り組みも進み、セカンドキャリアの選択肢は少しずつ広がっています。
セカンドキャリアにはどんな道がある?
競走馬の引退後には、さまざまなセカンドキャリアがあります。ここでは代表的な進路を紹介します。
繁殖馬として次の世代へ命をつなぐ
GⅠ馬や重賞勝ち馬、優れた血統を持つ馬の一部は、種牡馬や繁殖牝馬となり、新たな競走馬を送り出す役割を担います。
競走馬としての能力だけでなく、血統や産駒への期待も評価されるため、この道へ進める馬は限られています。競馬ファンが応援していた名馬の子どもが再びターフを駆けることも、競馬の大きな魅力の一つです。
乗馬として人と歩む
競走馬を引退したあと、多くの馬が新しい仕事として目指すのが乗馬です。
競馬で身につけた走る技術をそのまま活かせるわけではなく、ゆっくり歩くことや、人の指示に合わせて動くことなどを新たに学ぶ「リトレーニング(再調教)」を受けます。
その後は乗馬クラブや大学馬術部、観光施設などで、多くの人とふれあいながら活躍しています。
ホースセラピーや教育の場で活躍する
馬の穏やかな性格や、人を安心させる存在感を生かし、ホースセラピーや教育活動に参加する馬もいます。
| 活動 | 役割 |
|---|---|
| ホースセラピー | 障がい者乗馬やリハビリなど福祉活動を支える |
| 教育活動 | 子どもたちへ命の大切さや動物との接し方を伝える |
| 地域交流 | イベントなどで地域の人々とふれあう |
競馬場では力強く走っていた馬が、今度は人を笑顔にする存在として活躍する姿は、まさに新しい馬生といえるでしょう。
功労馬として穏やかな余生を送る
重賞で活躍した名馬などは、功労馬として牧場で穏やかな余生を過ごすケースもあります。
ファンが見学できる牧場もあり、現役時代に応援していた馬へ再会できることもあります。長年競馬界に貢献してきた馬が、ゆったりと草を食べながら暮らす姿は、多くの競馬ファンにとって特別な存在です。
競走馬の引退後には、一つだけの道があるわけではありません。繁殖や乗馬、ホースセラピー、功労馬など、それぞれの個性や適性を生かした新しい馬生が待っています。
セカンドキャリアにも課題がある
競走馬にはさまざまなセカンドキャリアがありますが、すべての馬が希望する進路へ進めるわけではありません。
乗馬になるためには再調教(リトレーニング)が必要であり、受け入れ施設や飼養費、人手の確保など、多くの課題があります。そのため、引退後の新しい馬生を支えるには、多くの人や団体の協力が欠かせません。
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 受け入れ先 | すべての馬を受け入れられる施設が十分とはいえません。 |
| リトレーニング | 乗馬になるためには時間と費用をかけた再調教が必要です。 |
| 飼養費 | 馬は毎日の飼料代や医療費など、継続的な費用がかかります。 |
| 引き取り手 | 能力や健康状態によって、新しい活躍の場が見つかるまで時間がかかる場合があります。 |
近年は競走馬の引退後について社会的な関心も高まり、受け入れ体制の整備や支援の輪は少しずつ広がっています。しかし、まだ課題が残されていることも事実です。

課題はありますが、近年はJRAや支援団体の取り組みにより、
少しずつ選択肢は広がっています。
JRAや支援団体も引退馬の未来を支えている
こうした課題を少しでも改善するため、JRAや各種団体では引退競走馬のセカンドキャリアを支えるさまざまな取り組みが行われています。
| 団体 | 主な取り組み |
|---|---|
| JRA | 引退馬支援事業、RRC(引退競走馬杯)、一時受け入れ施設の整備など |
| 認定NPO法人 引退馬協会 | フォスターホース制度、再就職支援プログラム、引退馬ネット |
| JAIRS | 功労馬への助成制度を運営 |
| TCC Japan | ホースセラピーや馬とのふれあい活動を推進 |
それぞれ活動内容は異なりますが、共通しているのは「引退した競走馬にも安心して暮らせる環境をつくりたい」という想いです。
近年では乗馬への転用だけでなく、ホースセラピーや教育活動、地域交流など、人と馬が新しい形で関わる機会も少しずつ増えています。
各団体の活動や支援方法については、別記事で詳しく紹介しています。
▶ おすすめ引退馬支援団体5選|あなたに合った支援先の見つけ方
私が競走馬の引退後について思うこと
ターフを全力で駆け抜けるサラブレッドの姿に何度も感動をもらいました。
一頭一頭に個性があり、それぞれの物語があることを知るほど、「引退した後はどんな暮らしをしているのだろう」と自然に考えるようになりました。
この記事を書きながら改めて感じたのは、競走馬の人生はレースを引退した瞬間に終わるのではなく、その先にもさまざまな馬生が続いているということです。
もちろん、すべての馬が同じ道を歩めるわけではありません。しかし、多くの人や団体の努力によって、新しい活躍の場が広がり続けていることも知りました。
競走馬は、レースを引退しても馬生が終わるわけではありません。
私は、まず「引退後にもさまざまな未来がある」ということを知る人が一人でも増えてほしいと思っています。
知ることが関心につながり、関心が馬たちの未来を支える大きな力になると信じています。



子どもの頃の乗馬体験が、今でも馬を好きでいる原点です。
よくある質問
- 競走馬は何歳くらいで引退しますか?
-
競走馬によって異なりますが、多くは2〜8歳頃までに現役を引退します。成績や健康状態、繁殖入りの予定などによって引退時期は変わります。
- 引退した競走馬はみんな乗馬になりますか?
-
いいえ。乗馬になる馬もいますが、繁殖馬や功労馬、ホースセラピーなど、それぞれの適性に応じた新しい役割があります。すべての馬が同じ進路へ進むわけではありません。
- 功労馬とは何ですか?
-
功労馬とは、競馬や繁殖で功績を残した馬が、牧場などで穏やかな余生を過ごす馬のことです。助成制度の対象となる馬もおり、見学できる牧場もあります。
- 引退した競走馬に会うことはできますか?
-
はい。引退馬牧場やホースセラピー施設などでは、見学やふれあいイベントを実施しているところもあります。ただし、事前予約が必要な場合もあるため、訪問前に公式サイトで確認しましょう。
- 引退馬を応援する方法はありますか?
-
寄付や会員制度、ふるさと納税、イベント参加など、さまざまな方法があります。自分に合った方法で無理なく続けることが大切です。当ブログでも詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
まとめ
競走馬は、レースを引退した瞬間にその物語が終わるわけではありません。
繁殖馬として次の世代へ命をつないだり、乗馬やホースセラピーで人を支えたり、功労馬として穏やかな余生を送ったりと、それぞれが新しい馬生を歩んでいます。
一方で、すべての馬が理想的なセカンドキャリアへ進めるわけではなく、受け入れ先や飼養費などの課題も残されています。そのため、JRAや支援団体をはじめ、多くの人たちが引退馬の未来を支える取り組みを続けています。
私自身、このテーマについて調べる中で、「レースが終わっても馬生は続いている」という当たり前だけれど大切なことを改めて実感しました。
この記事が、競走馬の引退後について知るきっかけとなり、一頭でも多くの馬たちの未来へ目を向ける第一歩になれば嬉しく思います。
レースを走る姿だけでなく、その後の馬生にも目を向けること。それも競馬を楽しむ一つの形なのかもしれません。
※掲載している支援方法や制度は変更される場合があります。最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。
※本記事はJRA・引退馬協会・JAIRSなどの公開情報をもとに作成し、筆者の見解を交えて構成しています。
出典・参考資料
引退馬支援についてさらに知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。










