現役時代のアスコリピチェーノの脚質は、中団から脚をためて差す形を基本にしながら、好位や後方からの競馬にも対応できるタイプでした。
阪神ジュベナイルフィリーズでは8番手付近、京成杯オータムハンデキャップでは中団、ヴィクトリアマイルでは15番手から差し切るなど、異なる位置から結果を残しています。
一方、NHKマイルカップでは5番手から3番手へ進出して2着に入り、前めの位置からも上位争いを見せました。
そのため、後方待機を専門とする追い込み馬ではなく、中団差しを軸に位置取りを変えられる「幅のある差し馬」だったと考えるのが分かりやすいでしょう。
本記事では、アスコリピチェーノの現役時代の通過順位や上がりタイムをもとに、基本的な脚質、位置取りの幅、代表レースでの走り、末脚の特徴を整理します。
この記事でわかること
- アスコリピチェーノの現役時代の基本的な脚質
- 差し馬・追い込み馬のどちらに近かったのか
- キャリアの中で見せた位置取りの幅
- 阪神JF・NHKマイルC・ヴィクトリアMでの走り
- 上がりタイムから見る末脚の特徴
- 通過順位から考える脚質の強み
アスコリピチェーノの脚質は?基本は中団からの差し
アスコリピチェーノの現役時代の競走成績を見ると、中団で脚をため、直線で伸びる差しタイプと整理するのが自然です。
ただし、毎回同じ位置から競馬をしていたわけではありません。
好走したレースを並べると、中団を中心に好位から後方まで幅がありました。
| レース | 距離 | 通過順位 | 着順 |
|---|---|---|---|
| 新潟2歳S | 芝1600m | 5-5 | 1着 |
| 阪神JF | 芝1600m | 8-8 | 1着 |
| 桜花賞 | 芝1600m | 8-8 | 2着 |
| NHKマイルC | 芝1600m | 5-3 | 2着 |
| 京成杯AH | 芝1600m | 9-9-8 | 1着 |
| ヴィクトリアM | 芝1600m | 15-15 | 1着 |
| マイルCS | 芝1600m | 4-4 | 7着 |
| 阪神牝馬S | 芝1600m | 8-7 | 10着 |
※通過順位は各コーナーを通過した際のおおよその位置を表します。海外競走は、今回参照した戦績データに通過順位の記載がないレースがあるため表から除いています。
中団から運ぶ形が好走パターンの中心
阪神ジュベナイルフィリーズと桜花賞はいずれも「8-8」、京成杯オータムハンデキャップは「9-9-8」でした。
これらのレースでは、序盤から無理に前へ行かず、中団で運んでいます。
そのため、現役時代の基本形は前半に脚を使いすぎず、終盤の伸びにつなげる差しだったと見ることができます。
後方一辺倒の追い込み馬ではなかった
ヴィクトリアマイルでは15番手から差し切っていますが、常に最後方付近から運ぶ馬ではありませんでした。
NHKマイルカップでは「5-3」、2025年のマイルチャンピオンシップでは「4-4」と、前めの位置から競馬をした経験もあります。
したがって、典型的な追い込み馬というより、中団差しを基本に前後へ位置を変えられるタイプだったと捉える方が実績に合っています。

「後ろからしか走れない馬」ではなく、中団を基本に前めにも後ろにも対応できるタイプだったのですね。
アスコリピチェーノは位置取りの幅が広かった
アスコリピチェーノは、デビュー時から差す競馬を見せていましたが、キャリアを重ねる中で前めのポジションからも走るようになりました。
2歳時は中団から後方が中心
2023年の新馬戦は「11-11」、新潟2歳ステークスは「5-5」、阪神ジュベナイルフィリーズは「8-8」でした。
2歳時は、中団から後方で脚をためる形が中心でした。
3歳春には好位寄りにも対応
3歳春の桜花賞では「8-8」と従来に近い位置から2着。
一方、NHKマイルカップでは「5-3」と、それまでより前につけて2着に入りました。
この頃には、後ろで構えるだけでなく、流れに応じて前めのポジションからも競馬ができることを示していました。
古馬になっても位置は固定されなかった
古馬になってからも、位置取りは一つに固定されませんでした。
京成杯オータムハンデキャップでは中団、ヴィクトリアマイルでは後方、マイルチャンピオンシップでは好位付近から運びました。
| 時期 | 主な位置取り | 特徴 |
|---|---|---|
| 2歳 | 中団~後方 | 差す形が基本 |
| 3歳 | 中団~好位 | 前めの位置にも対応 |
| 古馬 | 好位~後方 | 位置取りの幅が広がった |
基本の差し脚は変わらない一方、経験を重ねる中で取れるポジションの幅を広げていったと見ることができます。



差しが基本でも、毎回同じ位置から走っていたわけではないことが分かりますね。
代表レースから見るアスコリピチェーノの脚質
現役時代の位置取りが異なるレースを比べると、アスコリピチェーノの脚質の幅がより分かりやすくなります。
阪神JFは中団から差し切り
2023年の阪神ジュベナイルフィリーズでは、「8-8」で運んで1着。
直線では上がり3ハロン33秒7の脚を使いました。
中団で待機し、終盤の伸びを生かす基本的な差しパターンを示した一戦です。
NHKマイルCは好位寄りから2着
2024年のNHKマイルカップでは、「5-3」と前めの位置から運びました。
結果はジャンタルマンタルに次ぐ2着。
中団より前でも上位争いができたことで、位置取りに依存しすぎない対応力を示したレースでした。
ヴィクトリアマイルは15番手から差し切り
2025年のヴィクトリアマイルでは、「15-15」と後方から運びました。
そこから上がり33秒3を使って差し切り、1着。
普段より後ろの位置になっても、終盤に末脚を発揮できることを示したレースです。
| レース | 通過順位 | 上がり | 着順 |
|---|---|---|---|
| 阪神JF | 8-8 | 33.7 | 1着 |
| NHKマイルC | 5-3 | 34.2 | 2着 |
| ヴィクトリアM | 15-15 | 33.3 | 1着 |



8番手、3番手付近、15番手と位置は違っても上位争い。ここに現役時代の脚質の幅が表れていますね。
アスコリピチェーノの末脚は?上がりタイムから見る特徴
アスコリピチェーノの現役時代の末脚を考えるうえで参考になるのが、好走時の上がり3ハロンです。
阪神ジュベナイルフィリーズでは33秒7、京成杯オータムハンデキャップでは32秒7、ヴィクトリアマイルでは33秒3を記録しました。
※上がり3ハロンとは、レース最後の600mを走ったタイムです。数字はレースのペースや馬場状態にも左右されるため、単純比較だけで能力を判断するものではありません。
中団から速い上がりを使ったレースがある
特に目立つのが、2024年の京成杯オータムハンデキャップです。
「9-9-8」と中団から運び、上がり32秒7を記録して1着。
阪神ジュベナイルフィリーズでも8番手から33秒7で勝っており、中団で運んだ際に終盤の速い脚を生かした実績がありました。
後方からでも末脚を発揮
ヴィクトリアマイルでは15番手から33秒3を記録しました。
中団だけでなく、後方まで位置が下がった場合にも直線で伸びています。
一方、上がりタイムは展開や馬場によって変わるため、32秒台や33秒台という数字だけで「瞬発力型」と断定するのは適切ではありません。
ここでは、異なる位置からでも終盤に脚を使った実績があったことを特徴として捉えるのがよいでしょう。
通過順位から見えるアスコリピチェーノの脚質の強みを考察
ここからは、現役時代の通過順位やレース結果を比較した本記事での考察です。
アスコリピチェーノの脚質で興味深いのは、好走時の「何番手」という数字に共通点が少なかったことです。
阪神ジュベナイルフィリーズでは8番手、NHKマイルカップでは好位寄り、ヴィクトリアマイルでは15番手から上位争いをしました。
これだけ位置が違っても結果を残しています。
強みは特定の位置を取ることではなかった
典型的な逃げ馬なら前、追い込み馬なら後方と、好走パターンが位置取りにはっきり表れることがあります。
しかし、アスコリピチェーノの場合は好走位置そのものが一定ではありませんでした。
そのため、強みは「8番手前後にいれば走れる」といった固定的なものではなく、その日の流れの中で無理のない位置から終盤へつなげられることにあったのではないでしょうか。
完全な自在型より「幅のある差し馬」が近い
好位から後方まで経験していたため、「自在型」という言葉はアスコリピチェーノの特徴を表す一つの表現です。
ただし、逃げや先行を基本としていたわけではなく、好走の中心は差す競馬でした。
そのため、現役時代の実績から見ると、
中団差しを基本にしながら、好位や後方にも対応できる「位置取りに幅のある差し馬」
と表現する方が実像に近いでしょう。
「位置」より道中の余力がポイントだった可能性
好走時の位置取りが大きく違ったことから考えると、アスコリピチェーノにとって大切だったのは、前か後ろかという数字そのものではなかった可能性があります。
むしろ、道中で無理なく走り、最後の直線へ余力を残せる形をつくれるかという点が、持ち味を引き出す鍵だったのではないでしょうか。
NHKマイルカップのように前めでも、ヴィクトリアマイルのように後方でも好走できたことは、その考え方と矛盾しません。
「どの位置から走るか」ではなく、その位置で自分の走りを保てるか。
そこに、アスコリピチェーノが現役時代に見せた脚質の本当の自在性があったように感じます。



順位だけではなく、その位置で無理なく運べたかを見ると、アスコリピチェーノの脚質が分かりやすくなりますね。
アスコリピチェーノの脚質に関するよくある質問
- アスコリピチェーノは差し馬でしたか?
-
現役時代は、基本的に中団から脚をためて伸びる差しタイプと考えるのが自然です。
阪神ジュベナイルフィリーズや京成杯オータムハンデキャップなど、中団から差して勝ったレースがありました。
- アスコリピチェーノは追い込み馬でしたか?
-
ヴィクトリアマイルでは15番手から差し切りましたが、後方待機を基本とする追い込み専用馬ではありませんでした。
前めの位置から上位争いをしたレースもあり、差しを基本とするタイプと考える方が近いでしょう。
- アスコリピチェーノは先行できましたか?
-
先行を基本とする馬ではありませんでしたが、前めにつけた経験はあります。
NHKマイルカップでは「5-3」、2025年のマイルチャンピオンシップでは「4-4」で運びました。
- アスコリピチェーノの末脚の特徴は?
-
現役時代には、中団や後方から終盤に速い脚を使った実績がありました。
京成杯オータムハンデキャップでは上がり32秒7、ヴィクトリアマイルでは33秒3を記録しました。
まとめ|アスコリピチェーノは中団差しを基本に位置取りの幅を持つタイプだった
アスコリピチェーノの現役時代の脚質は、中団差しを基本にしながら、好位や後方にも対応できるタイプでした。
阪神ジュベナイルフィリーズでは中団、NHKマイルカップでは好位寄り、ヴィクトリアマイルでは後方から上位争いをしました。
そのため、後方一辺倒の追い込み馬でも、どの位置でも同じように走る完全な自在型でもありませんでした。
差しを軸にしながら、その日の流れに応じて位置取りを変えられる「幅のある差し馬」だったと捉えるのが分かりやすいでしょう。
【応援のその先へ】一頭でも多くの馬が幸せな未来を歩めるように
ターフを一生懸命に駆け抜ける馬たちの姿は、私たちに言葉以上の感動と勇気を届けてくれます。
そんな彼らが現役を退いたあとも、穏やかで幸せな時間を過ごせる場所を守ることは、競馬を愛する私たちにできる大切な「恩返し」だと考えています。
一頭でも多くの馬が、輝かしい競走生活のあとも、温かなセカンドキャリアを歩める未来を願っています。
この記事を通じて、引退馬支援の輪が少しでも広がることを心より願っています。
私たちにできる小さな一歩が、一頭でも多くの馬の未来につながります。まずは、できることから始めてみませんか。


※本記事は、現役時代の競走成績・通過順位・上がりタイムをもとに作成しています。「位置取りの幅」「自在性」「脚質の強み」などには、複数レースを比較した筆者の考察を含みます。
出典・参考資料
- JRA「競走馬情報 アスコリピチェーノ」
- netkeiba「アスコリピチェーノ 競走成績」
【アスコリピチェーノをもっと知ろう】
アスコリピチェーノの気性や血統については、関連記事で詳しく紹介しています。













