砂塵舞うダート戦線において、今もっとも多くのファンに愛され、そして応援されている一頭がダブルハートボンド(だぶるはーとぼんど)です。
彼女の代名詞といえば、額に刻まれたチャームポイントの「流星」。
その愛くるしい姿とは裏腹に、彼女が歩んできた道のりは、怪我という大きな壁を乗り越えて掴み取った感動の軌跡でもありました。
- 名前の由来と性格:
額のハート模様が象徴する、素直でひたむきな内面。 - 輝く血統と実績:
父キズナ譲りの勝負根性で、歴代2頭目の牝馬Vを飾った功績。 - 不屈の歩み:
大差勝ちの衝撃と、骨折という試練を乗り越えた精神力。
この記事では、競馬予想という枠を超えて、一頭のサラブレッドとしての彼女の魅力に迫ります。
支えるスタッフさんとの絆や、記録にも記憶にも残る戦いの日々を、馬好きの視点から大切に綴っていきます。
ダブルハートボンドの愛される性格|額に宿る素直さ
彼女がパドックに現れると、誰もがその「奇跡のような流星」に目を奪われます。
ダブルハートボンドの性格と特徴をまとめるました。
- 外見:
額の中央で二つのハートが縦に寄り添う愛らしい模様 - 気性:
指示にピタリと応える、極めて高い「操縦性」と「素直さ」 - 素顔:
スタッフさんに鼻面を寄せる、甘えん坊な一面も
これらの特徴は、単なる見た目の可愛らしさだけではありません。
育成時代から彼女を見守ってきた菅原洸さんは、
「走りがきれいで操縦性が抜群に高い」
と評しており、その素直さがレースでの強さに直結しています。
特に、初めてのナイターや砂を被る厳しい展開でもパニックにならず、坂井瑠星騎手の指示を忠実に守り抜く精神力は、彼女の穏やかな性格が生み出した最大の武器と言えるでしょう。
また、厩舎での彼女は、担当の平子晃さんに甘えるのが大好きな一面も持っています。
「信頼した人には全力で応える」という彼女のひたむきな内面を知れば知るほど、その額のハートが、彼女に関わるすべての人々の愛情を繋いでいるのだと感じずにはいられません。
この愛される性格こそが、多くのファンを惹きつけてやまないダブルハートボンドの本当の魅力なのです。
カメラ目線の天才
普通の馬はカメラを向けると耳を伏せたり横を向いたりしますが、彼女は「私を撮るの?」と言いたげに耳をピンと立ててポーズを決めてくれます。
SNSで彼女の写真がバズりやすいのは、この「確信犯的」な可愛さがあるからかもしれません。
ダブルハートボンドの輝く血統|父キズナから砂の頂点へ
日本が誇る「絆」の結晶が、ダート界に新たな歴史を刻みました。
ダブルハートボンドが持つ、世界屈指の血統背景をまとめました。
- 父キズナ:
世代を代表する勝負根性と、芝・ダートを問わない身体能力を継承
- 母パーシステントリー:
アメリカのG1馬。世界レベルのスピードと強靭なパワーの源泉
- 究極の融合:
日米のトップサイアーと名牝が重なり、歴代屈指の爆発力を実現
彼女の父、キズナの名前を体現するかのように、その血統には多くの人々の想いが詰まっています。
| 1代(父/母) | 2代 | 3代 | 4代 | 5代 |
| キズナ | ディープインパクト | Sunday Silence | Halo | Hail to Reason |
| Wishing Well | Understanding | |||
| ウインドインハーヘア | Alzao | Lyphard | ||
| Burghclere | Busted | |||
| キャットクイル | Storm Cat | Storm Bird | Northern Dancer | |
| Terlingua | Secretariat | |||
| Pacific Princess | Damascus | Sword Dancer | ||
| Fiji | Raja Baba | |||
| パーシステントリー | Smoke Glacken | Two Punch | Mr. Prospector | Raise a Native |
| Heavenly Cause | *Grey Dawn | |||
| Majesty’s Crown | Magesterial | Northern Dancer | ||
| Queen’s Crown | King Pellinore | |||
| Just Reward | Deputy Minister | Vice Regent | Northern Dancer | |
| Mint Copy | Bunty’s Flight | |||
| Heavenly Prize | Seeking the Gold | Mr. Prospector | ||
| Oh What a Dance | Nijinsky |
キズナ産駒らしい「最後まで諦めない粘り強さ」は、彼女が骨折という逆境から立ち直り、G1という頂点に立つための原動力となりました。
特筆すべきは、母系から受け継いだ圧倒的なダート適性です。
母のパーシステントリーは、アメリカの伝統あるG1を制した名牝であり、そのスピードと力強さが彼女の脚元に宿っています。
坂井瑠星騎手が「能力が抜けている」と絶賛し、実際にJRAレコード(1:47.5)を叩き出した背景には、この妥協のない血のドラマがあるのです。
父から受け継いだ情熱と、母から受け継いだ砂を駆ける力。
二つの「愛」が重なり合った血統こそが、ダブルハートボンドを砂の女王へと導いたのです。
お昼寝大好き女子
厩舎では、お腹を出してぐっすり寝入ってしまうこともあり、スタッフさんが通りかかっても起きないほどの図太さを見せることも。
レース中のあの鋭い眼光からは想像もつかないような、無防備で幸せそうな寝顔に、担当の平子晃さんも思わず顔がほころんでしまうそうです。
ダブルハートボンドG1制覇への軌跡|骨折を乗り越えて
彼女の物語は、衝撃的な勝利と、それに続く過酷な試練から幕を開けました。
| レース名 | 日付 | 着順 | 騎手 | タイム | 勝ち馬(2着馬) |
| フェブラリーS(G1) | 2026/02/22 | 3着 | 坂井瑠星さん | 1:35.6 | コスタノヴァ |
| チャンピオンズC(G1) | 2025/12/07 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:50.2 | (ウィルソンテソーロ) |
| みやこS(G3) | 2025/11/09 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:47.5 | (サイモンザナドゥ) |
| ブリーダーズGC(Jpn3) | 2025/08/28 | 2着🥈 | 坂井瑠星さん | 2:07.0 | ライオットガール |
| 三宮S(OP) | 2025/06/14 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:50.0 | (ヴァンヤール) |
| 舞鶴S(3勝クラス) | 2025/02/01 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:52.2 | (ネバーモア) |
| 恵那特別(2勝クラス) | 2025/01/11 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:52.6 | (ミヤジレガリア) |
| 3歳以上1勝クラス | 2024/09/08 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:51.2 | (ヒヒーン) |
| 3歳未勝利 | 2024/08/18 | 1着🥇 | 坂井瑠星さん | 1:53.2 | (ポップスター) |
デビュー直後の快進撃を止めた骨折というアクシデント。
しかし、彼女はこの試練を驚異的な精神力で乗り越えました。
復帰後の快進撃の裏には、厩舎スタッフさんたちの深い絆がありました。
デビュー時から支え、当時は闘病中だった調教助手の谷口辰夫さんへの想いを胸に、チーム一丸となって彼女を仕上げたのです。
大久保龍志調教師さんは、レース後に
「谷口が休んでいる間に、あいつはどんな工夫をしていたのかなと考えながら、自分も彼女に乗っていました」
と語りました。
わずか9センチ差という激闘を制したチャンピオンズカップのゴール板。
そこには、彼女自身の根性と、それを見守り続けた人々の祈りが結晶となって現れていました。
一度は立ち止まった彼女が、砂の頂点へと駆け上がったこの軌跡は、多くの競馬ファンに「諦めない心」と「絆の力」を教えてくれたのです。
ダブルハートボンド 基本情報
「砂の女王」としての強さと、ファンを虜にする愛らしさ。
その原点となるプロフィールを一覧にまとめました。
| 生年月日 | 2021年2月3日 |
| 毛色 | 鹿毛 |
| 馬主 | (有)シルクレーシング |
| 調教師 | 大久保 龍志 さん(栗東) |
| 生産牧場 | ノーザンファーム |
愛くるしい姿の裏に隠された、驚異的なパワーと戦術。
なぜ彼女は砂を被っても止まらないのか?
JRAレコードを叩き出した脚質の秘密や、得意なコースを考察した記事はこちらをご覧ください。

教えて!ダブルハートボンドにまつわる気になるQ&A
「砂の女王」としての圧倒的な強さと、額のハートが物語る愛くるしい素顔。
多くのファンを虜にする彼女の魅力を、Q&A形式で多角的に紐解いていきましょう。
- 名前の「ボンド(Bond)」にはどんな由来があるの?
-
単に「ハート」を並べるだけでなく、父キズナの名前から連想された「結束・接着」を意味するボンドが使われています。
かつて大久保龍志調教師さんが語ったように、彼女の馬体や美しい模様から「関わるすべての人の愛情を一つに結びつける存在になってほしい」という願いが込められた、世界に一つだけの素敵な名前です。
- 牝馬なのに、なぜあんなに過酷なダートで先行し続けられるの?
-
一番の理由は、彼女の「精神的な図太さと素直さ」にあります。
彼女には砂を被っても怯まない高い耐性がありますが、一方で先行策を身上とする彼女にとって、後方で砂塵に包まれるのは進路を阻まれる「物理的なリスク」でもあります。
砂に負けない心を持っているからこそ、その砂塵を真っ先に抜け出し、誰にも邪魔されない先頭へと突き進むことができる——。その「強さ」と「賢さ」の噛み合わせが、牡馬顔負けのポジション取りを可能にしているのです。
- 普段はどんな様子なの?
-
パドックやレースでは凛としていますが、厩舎では非常に可愛らしい一面を見せています。
担当の平子晃厩務員さんをはじめとするスタッフさんたちを信頼しきっており、みやこステークスの表彰式などでも、スタッフさんと寄り添う姿が多くのファンの心を温めました。
まとめ|ダブルハートボンドが繋ぐ、これからの夢と絆
ダブルハートボンドの歩みを振り返ると、そこには常に「誰かを想う心」が流れていました。
額に宿した二つのハートは、彼女自身の強さの象徴であると同時に、怪我の時も、苦しい時も、彼女を信じて寄り添い続けたスタッフさんたちの深い愛情が形になったもののように思えてなりません。
彼女が見せてくれる走りは、単なる数字や記録以上の勇気を与えてくれます。
一度は立ち止まらざるを得なかった骨折という壁を乗り越え、ダート界の頂点へと駆け上がったその姿は、逆境に立ち向かうすべての人へのエールでもあります。
あの激闘を制した根性は、まさに人との「絆」が手繰り寄せた奇跡でした。
現在は放牧地で心身を休めている彼女。
再びターフに姿を現すとき、その額のハートはまた新しい物語を私たちに見せてくれることでしょう。
これからもダブルハートボンドが、その力強い脚取りで夢を繋いでいけるよう、今は静かに、そして温かく見守っていきましょう。
彼女が結んだ愛情の輪は、これからも多くのファンの心の中で、優しく輝き続けます。
【応援のその先へ】一頭でも多くの馬が幸せな未来を歩めるように
ターフを一生懸命に駆け抜ける馬たちの姿は、私たちに言葉以上の感動と勇気を届けてくれます。
そんな彼らが現役を退いたあとも、穏やかで幸せな時間を過ごせる場所を守ることは、競馬を愛する私たちにできる大切な「恩返し」だと考えています。
一頭でも多くの馬が、輝かしいキャリアの先に、温かなセカンドキャリアを歩める未来を信じて。
この記事を通じて、引退馬支援の輪が少しでも広がることを心より願っています。
私たちにできる、小さくて温かい一歩を一緒に踏み出してみませんか?

走りの裏側にある「物語」もあわせてチェック
ターフで見せる懸命な走りには、それを支える確かなルーツと、日々の成長の記録が刻まれています。
当ブログの「お馬のデータ名鑑」では、脚質や戦術の基盤となる詳細な血統背景、そして心身の充実度を示す馬体重の推移などを網羅的にまとめています。
「なぜ、あの走りができるのか?」——その答えを紐解くための詳細なプロフィールは、こちらからご覧いただけます。
血統という物語を知ることで、彼らへの応援はもっと深く、熱いものに変わるはずです。

