競馬で私たちに感動を届けてくれた競走馬は、現役を引退したあと、どのような場所で暮らしているのでしょうか。
その選択肢の一つが「養老牧場」です。
しかし、「功労馬との違いは?」「引退した馬はみんな養老牧場へ行くの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、養老牧場の役割や功労馬との違い、引退後の競走馬の進路、私たちにできる支援方法について分かりやすく解説します。
競走馬たちの未来について知るきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 養老牧場の具体的な役割や、功労馬という言葉との違い
- 引退したすべての競走馬が養老牧場に行けるわけではない現状と、その背景にある課題
- ふるさと納税や寄付など、一般のファンでも今すぐ始められる具体的な支援方法
養老牧場とは?その役割と暮らしている馬の種類
現役を終えた競走馬には、それぞれ新しい人生があります。その中でも、穏やかな余生を送る場所として重要な役割を果たしているのが養老牧場です。
ここでは、養老牧場とはどのような場所なのか、その役割や暮らしている馬について紹介します。
養老牧場の役割
養老牧場とは、引退した馬が安心して余生を過ごすための牧場です。
競走馬は引退後、繁殖馬や乗馬になる馬もいますが、すべての馬が新たな仕事に就けるわけではありません。年齢や体調、けがなどさまざまな理由から、新しい役割を持たず余生を暮らす馬もいます。
養老牧場では、こうした馬たちが健康に生活できるよう、食事や放牧、健康管理などが行われます。
広い放牧地で仲間と過ごしたり、のんびり草を食べたりする姿は、競走生活とは異なる穏やかな時間そのものです。
馬たちが安心して老後を迎えられる環境を守ることが、養老牧場の大切な役割といえるでしょう。
どんな馬が養老牧場で暮らしている?
養老牧場で暮らしている馬は、元競走馬だけではありません。
例えば、
- 引退した競走馬
- 繁殖生活を終えた繁殖牝馬
- 乗馬クラブを引退した馬
- 高齢になった馬
- けがや病気で仕事を続けられなくなった馬
など、さまざまな経歴を持つ馬が暮らしています。
現役時代の成績は関係なく、一頭一頭がそれぞれの人生を歩んできました。
馬たちが安心して一生を暮らせる環境を維持することは、競馬というスポーツを支えるうえでも大切な取り組みです。
| 暮らしている馬 | 経歴や特徴 | 養老牧場での過ごし方 |
| 引退した競走馬 | レースでの現役生活を終えた馬 | 広い放牧地でのんびりと過ごす |
| 繁殖生活を終えた馬 | 次の世代を育てる仕事を終えた牝馬など | 体力を回復させながら穏やかに暮らす |
| 乗馬・仕事を引退した馬 | 乗馬クラブや施設での役割を終えた馬 | 高齢による衰えに対応したケアを受ける |
| けがや病気を抱えた馬 | 現役続行や他の仕事が困難になった馬 | 獣医師やスタッフによる健康管理のもとで療養 |

名馬だけでなく、いろいろな背景を持った馬たちを受け入れているのですね。
競走馬が引退したあとには、繁殖馬や乗馬、リトレーニングなどさまざまな進路があります。
引退後の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
▶競走馬の引退後はどうなる?セカンドキャリアや支援の現状をわかりやすく紹介
養老牧場と功労馬の関係
養老牧場について調べていると、「功労馬」という言葉を目にすることがあります。
どちらも引退した馬に関わる言葉ですが、養老牧場は馬たちが余生を過ごす「場所」、功労馬は優れた功績を残した「馬」を表す言葉です。
功労馬が暮らす場所は一つではありません。養老牧場で余生を送る馬もいれば、一般の牧場で穏やかな毎日を過ごす馬もいます。
一方で、養老牧場は功労馬だけの施設ではなく、高齢馬やけがなどにより現役を引退した競走馬を受け入れる役割も担っています。
養老牧場と一般的な牧場では、目的や暮らしている馬に違いがあります。
| 項目 | 養老牧場 | 一般的な牧場 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 引退馬や高齢馬が穏やかな余生を過ごす | 繁殖・育成・放牧・功労馬の繋養など目的はさまざま |
| 暮らしている馬 | 功労馬、高齢馬、けがや病気などで引退した馬 | 繁殖馬、育成馬、功労馬、放牧中の馬など |
| 仕事 | 基本的に仕事はせず余生を過ごす | 馬の育成や繁殖、管理など施設ごとに異なる |
| 見学 | 施設によって一般公開される場合がある | 施設によって異なる |
このように、養老牧場は「引退馬が安心して余生を過ごすこと」を目的とした牧場です。
一方、一般の牧場は繁殖や育成、放牧などさまざまな役割を持ち、その中に功労馬を受け入れている牧場もあります。
なお、功労馬は一定の条件を満たした馬だけが認定される制度です。功労馬として認定されるには、重賞競走での実績や繁殖成績など、一定の条件を満たす必要があります。
認定された馬は、国や関係団体による養育支援の対象となることがありますが、すべての引退馬が対象となるわけではありません。
このように、「養老牧場」と「功労馬」は、互いに関わりのある言葉です。
| 項目 | 養老牧場 | 功労馬 |
|---|---|---|
| 意味 | 引退馬が余生を過ごす牧場 | 競馬や繁殖で功績を残した馬 |
| 対象 | さまざまな引退馬 | 特に功績の大きな馬 |
| 役割 | 生活の場を提供する | 功績をたたえられ、大切に余生を送る存在 |



「養老牧場=場所」「功労馬=馬」と覚えておくと、それぞれの役割が分かりやすくなります。
功労馬の制度や対象となる条件について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
▶功労馬とは?引退競走馬との違いや条件、穏やかな余生を支える制度を解説
引退した競走馬は全て養老牧場へ行けるのか?
引退した競走馬が、全て養老牧場へ行けるわけではありません。
競走馬にはさまざまな引退後の進路があり、養老牧場はその中の選択肢のひとつです。
毎年数千頭が引退する競走馬の中で、養老牧場に直接進むことができる馬は限られているのが実情です。
例えば、成績や血統に適性がある馬は繁殖馬となり、次の世代を育てる仕事に就きます。
また、人と関わることに向いている馬は乗馬クラブや観光施設で活躍。「リトレーニング」と呼ばれる乗馬用の訓練を受けて新しい仕事に就いたりするケースもあります。
一方で、高齢やけがなどの理由から仕事を持たず、養老牧場で穏やかな余生を送る馬もいます。
しかし、養老牧場に受け入れられる頭数には限りがあります。
牧場の維持には広大な土地だけでなく、日々の飼料代や医療費、管理する人件費など多くの費用がかかるため、すべての引退馬を無条件に受け入れることは容易ではありません。
だからこそ、多くの引退馬支援団体や牧場、そして競馬ファンの継続的な支えが必要不可欠になっています。
競走馬の未来の選択肢を広げるために、多様な受け入れ先を用意する取り組みが進められています。
| 主な引退後の進路 | 概要と役割 | 課題や注意点 |
| 繁殖馬(種牡馬・繁殖牝馬) | 次世代の競走馬を生産する役割 | 成績や血統による需要に大きく左右される |
| 乗馬・観光馬 | 乗馬クラブや観光施設で人と触れ合う | 人の指示に従うための適性や訓練が必要 |
| リトレーニング | 乗馬やセラピー馬になるための再教育 | 訓練期間中の維持費や専門スタッフが必要 |
| 養老牧場での余生 | 仕事を持たずに静かに老後を過ごす | 受け入れ頭数の限界や継続的な維持費の確保 |



全ての引退馬が、安心して暮らせるようにしていきたいですね。
リトレーニングとはどのような取り組みなのか気になる方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▶競走馬のリトレーニングとは?引退後に乗馬になるまでをわかりやすく解説
養老牧場が抱える課題
競走馬が安心して余生を過ごせる養老牧場ですが、その運営にはさまざまな課題があります。
馬たちが穏やかに暮らし続けるためには、多くの現実的な問題をクリアしなければなりません。
養老牧場の運営における最大の課題は、賞金収入のない引退馬を長期にわたって飼育するための「経済的・物理的コストの負担」です。
やはり、施設の維持費が大きな負担になります。
馬は毎日大量の牧草や飼料を食べるため、食費だけでも毎月多額の費用がかかります。
さらに、蹄の健康を保つための定期的な削蹄(さくてい)や、病気を予防するワクチン接種、けがや高齢化に伴う医療費など、健康管理にも継続的な出費が必要です。
引退後の馬はレースに出走しないため、これらの費用は牧場の自己資金や、有志の支援者からの寄付、ファンクラブの会費などで賄われています。
次に、受け入れ頭数の限界が挙げられます。
養老牧場を維持するには、広い放牧地や馬房だけでなく、馬の世話をする専門のスタッフが必要です。
土地や人員には限りがあるため、希望するすべての馬を受け入れることはできず、各牧場で上限が決まっています。
安定した運営を続けるためには、一時的なブームにとどまらない、長期的な支援の輪を広げることが不可欠です。
| 抱える主な課題 | 具体的な内容 | 求められる対策 |
| 莫大な維持費の発生 | 毎日の飼料代、削蹄費、高齢化に伴う医療費の増大 | 寄付や会費、ふるさと納税などの多角的な資金集め |
| 受け入れキャパシティの限界 | 放牧地の広さや馬房数、スタッフ人数の不足 | リトレーニングによる他分野への転出・循環の促進 |
| 支援の継続性 | ファンの関心の変化による収入の不安定化 | 引退馬の現状を伝える情報発信とファンコミュニティの構築 |



生き物を長期でお世話する以上、費用や場所の確保は本当に切実な問題です。
引退馬支援の仕組みや活動内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
▶引退馬支援とは?私たちにできる支援方法や寄付の始め方をわかりやすく解説
私たち個人にもできる養老牧場・引退馬の支援方法
養老牧場や引退馬を支える方法は、高額な寄付だけではありません。
一人ひとりが自分に合った無理のない方法を選ぶことが、結果として馬たちの持続可能な未来につながります。
現代では、ふるさと納税やSNSでの情報発信など、多様なアプローチで引退馬の支援に参加できるようになっています。
特に近年注目を集めているのが、地方自治体と連携した「ふるさと納税」を活用した支援です。
引退馬が多く暮らす地域への寄付を通じて、返礼品を受け取りながら税金の控除も受けられるため、普段の寄付にはハードルを感じる方でも参加しやすい制度となっています。
また、特定の馬や牧場の会員・サポーターとなり、毎月定額の会費を支払うことで、継続的な運営を支える仕組みもあります。
お金を出す支援だけでなく、牧場が主催する見学イベントに参加して正しい知識を身につけたり、現状をSNSでシェアして周囲の人に広めたりすることも立派な支援の形です。
一人ひとりの行動は小さくても、それが集まることで、馬たちがのんびりと暮らせる環境を長く守ることができます。
| 支援方法 | 内容 |
|---|---|
| 寄付 | 牧場や支援団体へ直接寄付する |
| 会員になる | 継続的な活動を支える |
| ふるさと納税 | 返礼品を受け取りながら引退馬を応援できる |
| 見学イベントに参加 | 引退馬を身近に感じ、活動を知るきっかけになる |
| SNSで情報を発信 | 活動を広め、多くの人に知ってもらう |



ふるさと納税や情報のシェアなど、自分にできることから始められそうですね。
実際に支援できる団体について知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
▶おすすめ引退馬支援団体5選|自分に合った支援方法の選び方も解説
ふるさと納税で引退馬を応援したい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▶引退馬支援ができるふるさと納税とは?おすすめ自治体や寄付の流れを解説
よくある質問
- 養老牧場と引退牧場は同じですか?
-
どちらも引退した馬が暮らす牧場を指すことがありますが、「引退牧場」は乗馬用リトレーニングを行う施設なども含む広い意味で使われる言葉です。
一方、「養老牧場」は主に高齢馬や仕事を終えた馬が穏やかな老後を過ごす場所に特化して使われる傾向があります。
- 養老牧場は誰でも自由に見学できますか?
-
牧場によって見学の可否やルールは大きく異なります。
一般公開している牧場もありますが、馬の健康管理や安全面への配慮から、事前予約が必要な場合や見学を一切受け付けていない場合もあります。
訪問を希望する際は、必ず事前に公式サイトなどで最新情報を確認し、決められたルールを厳守してください。
- 引退した競走馬は何歳くらいまで生きますか?
-
馬の平均寿命には個体差がありますが、一般的には25歳から30歳前後まで生きる馬が多いとされています。
養老牧場などで適切な飼育環境や徹底した健康管理が行われれば、それ以上長生きするケースも珍しくありません。
- 個人で支援を始めたい場合、いくらくらいから寄付できますか?
-
多くの引退馬支援団体や養老牧場では、インターネットを通じたクラウドファンディングや毎月のサポーター会費として、500円や1,000円といった少額からの寄付を受け付けています。
まとめ
養老牧場は、現役を引退した競走馬や繁殖馬、乗馬などが穏やかな老後を過ごすための大切な施設です。
言葉の混同が起きやすい「功労馬」とは意味が異なり、養老牧場は「馬が暮らす場所」そのものを指し、功労馬は「特定の功績を残した馬の称号」を指しています。
引退したすべての競走馬が養老牧場へ行けるわけではなく、繁殖馬や乗馬、リトレーニングといった多様な進路のなかの一つの選択肢であるのが現状です。
また、賞金収入のない引退馬を支えるため、養老牧場は多額の維持費や受け入れ頭数の限界といった現実的な運営課題を抱えています。
だからこそ、直接の寄付をはじめ、ふるさと納税の活用、正しいルールでの見学、SNSを使った活動の拡散など、私たちにできる多様な形の支援が大きな意味を持ちます。
レースでの華やかな活躍を楽しむだけでなく、その先にある馬たちの生涯やそれを取り巻く現状に目を向けることで、競馬という文化への理解がさらに深まるでしょう。
競馬を支えてきた馬たちが、引退後も穏やかな毎日を過ごせるよう、私たち一人ひとりが関心を持ち続けることが、未来につながる大切な一歩になるでしょう。
【応援のその先へ】一頭でも多くの馬が幸せな未来を歩めるように
ターフを一生懸命に駆け抜ける馬たちの姿は、私たちに言葉以上の感動と勇気を届けてくれます。
そんな彼らが現役を退いたあとも、穏やかで幸せな時間を過ごせる場所を守ることは、競馬を愛する私たちにできる大切な「恩返し」だと考えています。
一頭でも多くの馬が、輝かしい競走生活のあとも、温かなセカンドキャリアを歩める未来を願っています。
この記事を通じて、引退馬支援の輪が少しでも広がることを心より願っています。
私たちにできる小さな一歩が、一頭でも多くの馬の未来につながります。まずは、できることから始めてみませんか。


※掲載している支援方法や制度は変更される場合があります。最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。
※本記事は、公開されているJRA・引退馬協会などの情報をもとに作成し、筆者の見解を交えています。
出典・参考資料
- JRA(日本中央競馬会)引退競走馬への取組み
- 認定NPO法人 引退馬協会
- 各引退馬支援団体・牧場の公開情報







