西山茂行(にしやましげゆき)オーナーが「愛」を込めて名付けたニシノティアモは、優雅な血統背景だけでなく、レースで見せる非常にスマートな立ち回りでもファンを魅了しています。
父ドゥラメンテから譲り受けた力強さと、母系が育んできた勝負根性。今回は、彼女がターフで見せる「走りの美学」にスポットを当て、その卓越した脚質を紐解きます。
- 先行から差しまでこなす、レース展開に左右されない自在な立ち回り。
- 厳しいペースでも崩れない、父譲りの「長く良い脚」を使える持続力。
- どんな条件でも自分の力を出し切る、抜群の操縦性と精神的な安定感。
単なる戦績の羅列ではなく、勝ち星を積み重ねるごとに洗練されていく彼女の「加速のリズム」や「精神的な強さ」を分析することで、次走の走りがもっと楽しみになるような視点をお届けします。
変幻自在の立ち回り!ニシノティアモが見せる「走り」の形
ニシノティアモのレース運びは、一言で表すなら「優等生」のような巧みさがあります。
| レース名 | 通過順位 | ペース | 上り3F | 着順 | 騎手名 |
| 中山牝馬S(G3) | 10-12-10-9 | 36.1-36.0 | 35.1 | 5着 | 津村明秀 |
| 福島記念(G3) | 2-2-2-2 | 36.1-34.2 | 34.0 | 1着🥇 | 津村明秀 |
| 甲斐路S(3勝) | 9-9-10 | 35.6-34.1 | 33.1 | 1着🥇 | 津村明秀 |
| 白河特別(2勝) | 4-3-5-5 | 35.2-37.0 | 35.4 | 1着🥇 | 津村明秀 |
| 4歳以上1勝 | 4-2-2 | 35.9-34.1 | 34.0 | 1着🥇 | 津村明秀 |
※上がり3ハロンとは、ラスト600mのタイムで一瞬の速さと勝負根性を示す数値で、勝負が決まる「最後の直線での爆発力(末脚)」を数値化した指標です。
表の通過順位を振り返ると、彼女が持つ戦術の幅広さと、レース展開に対する柔軟な対応力がはっきりと浮かび上がります。
- 先行・差しの自在性
2番手から積極的にレースを運ぶ形だけでなく、中団でじっくりと脚を溜める競馬も高いレベルでこなすことができます。 - 重賞制覇で見せた横綱相撲
福島記念では、終始2番手をがっちりとキープしながら、上がり3ハロン34.0秒という鋭い末脚を繰り出し、後続を寄せ付けない完勝を収めました。 - 抜群の操縦性と反応の良さ
甲斐路Sのように後方からメンバー最速級の末脚で突き抜けることも可能で、騎手さんの指示に即座に反応できる「操縦性の高さ」が彼女の走りを支えています。
福島記念では、小回りの福島コースにおいて、先行しながらメンバー上位の上がりを繰り出すという、まさに『先行力』と『持続力』が完勝の形で融合した一戦でした。
どんな展開であっても、自らの力で勝利を手繰り寄せられる形を持っていることこそが、ニシノティアモの揺るぎない強みとなっています。
若き智将・上原厩舎との絆
管理する上原佑紀さんは、2023年に開業したばかりの気鋭の調教師です。彼はニシノティアモを「非常に賢く、こちらの意図を汲み取ってくれる馬」と高く評価しています。
彼女の変幻自在な立ち回りは、持って生まれた才能だけでなく、上原厩舎による丁寧な対話と調整によって引き出されたものです。
「若い才能」と「伝統の血統」が手を取り合い、新しい時代の幕開けを告げるような走りに、これからも目が離せません。
ドゥラメンテ譲りの持続力!ニシノティアモの強みは安定感
彼女の脚質を支えているのは、どんな状況でも大きく崩れない抜群の安定感と持続力です。
| 項目 | 考察内容 |
| 得意な展開 | 前が残りやすい小回りコースでの先行押し切り |
| 得意な脚色 | 直線でじわじわと加速し、最後までスピードが落ちない持続力 |
| 強みとなる馬場 | 稍重やタフな馬場でも苦にしない、ドゥラメンテ産駒らしいパワー |
| 今後の課題 | 超高速決着での極限の瞬発力勝負 |
ニシノティアモの走りの真骨頂は、一度加速を始めてからゴールまでスピードを維持し続ける「長く良い脚を使えること」に集約されます。
- 父ドゥラメンテから昇華した持続力
父が持っていた爆発的な末脚のDNAを受け継ぎつつ、彼女はそのエネルギーを最後まで持続させる粘り強さへと見事に進化させています。 - タフな条件下で見せる底力
中山牝馬Sでは稍重という力の要る馬場状態のなか、後方から着実に一歩ずつ差を詰め、掲示板を確保する5着まで食い込みました。 - 状況に左右されない末脚の信頼感
厳しいペースや馬場状態に屈することなく、直線で必ず伸びてくるその持続力こそが、彼女の安定感の源です。
どんなに苦しい局面でも、最後まで諦めずに末脚を伸ばし続けるひたむきな姿に、多くのファンが魅了されています。
1週前追い切りでも、管理する上原佑紀さんは「手応えに余裕がある中であの時計(11秒0)」(出典:netkeiba)とコメント。
スピードを維持したまま走り切れる体力が備わっています。この持続力があるからこそ、厳しい重賞の舞台でも常に上位に顔を出すことができるのです。
ニシノティアモの脚質を紐解く3つのQ&A
ニシノティアモが見せるスマートなレース運びや、卓越した身体能力の秘密について、ファンの皆さんが特に気になる3つのポイントを詳しく紐解いていきましょう。
- 先行と差し、どちらが彼女の「本領」なのでしょうか?
-
これまでの5勝のうち、福島記念を含む多くの勝利が前々で立ち回る形です。
しかし、近走では控える競馬でもしっかりと脚を使えており、「前に目標を置いて、直線で確実に捕らえる」形が最も安定したパフォーマンスを発揮できるスタイルと言えるでしょう。
- 急坂のあるコースや、タフな馬場への適性は?
-
中山や福島といった、最後に坂があったり小回りで器用さが求められたりするコースで実績を挙げています。
パワーが必要な馬場でも上がりの時計が極端に落ちないため、非常にタフな脚質を持っています。
- 上がり3ハロンのタイムから見える特徴はありますか?
-
33秒台前半から35秒台まで、どんなペースでも安定した末脚を繰り出せることが特徴です。
周囲がバテるような展開でも、彼女だけは最後まで脚色が衰えないのが強みです。
この変幻自在な走りを支える、名牝ニシノフラワーから受け継がれた血のロマンについては、こちらの【名鑑編】をご覧ください。
まとめ|一戦ごとに磨かれるニシノティアモのセンス
ニシノティアモの走りを見ていると、まるで自らレースの流れを読み、最適なポジションを探しているかのような「賢さ」を感じます。
先行して押し切る強気な姿勢も、中団から虎視眈々と前を狙う冷静な構えも、すべては彼女が持つ類まれな操縦性と、最後まで走り抜く責任感のようなものから生まれているのかもしれません。
重賞タイトルを手にした今、彼女の脚質はさらに磨きがかかり、一戦ごとにその完成度を高めています。
単に速いだけでなく、「最後までしぶとく、確実に伸びてくる」彼女の姿は、多くのファンの心を掴んで離しません。
次なるステージでも、彼女が選ぶ「走り」の形がどのようなドラマを生んでくれるのか、期待に胸が膨らみます。これからも彼女がターフで見せる一歩一歩に、温かなエールを送り続けたいと思います。
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※本記事は、出典・参考文献の公開データをもとに作成しています。内容は執筆時点の情報に基づいています。

