競馬で活躍した名馬たちは、現役を引退した後にどのような生活を送っているのでしょうか。
現役を退いた競走馬の中には、乗馬や繁殖馬として新たな道を歩む馬もいれば、「功労馬(こうろうば)」として穏やかな余生を過ごす馬もいます。
しかし、「功労馬とは何か」「普通の引退馬と何が違うのか」を詳しく知る機会は多くありません。
この記事では、功労馬の意味や条件、引退後の生活、支える制度、私たちにできる応援方法まで分かりやすく解説します。
馬たちの歩むセカンドキャリアへの理解を深めるための参考にしていただければ幸いです。
この記事でわかること
- 功労馬の定義と、一般的な引退競走馬との進路の違い
- 功労馬に選ばれるための条件や、日々の暮らしの様子
- JAIRSの助成事業などの支援制度や、ファンができる応援方法
功労馬とは?引退競走馬との違いと基本的な意味
まずは、功労馬とはどのような馬を指すのか、引退競走馬との違いを確認しておきましょう。意味や役割を知ることで、引退後の競走馬についてより深く理解できます。
功労馬とは、競馬や馬産の発展に大きく貢献した競走馬が、引退後に穏やかな余生を送るために大切に繋養(けいよう)されている馬のことです。
「功労」とは、社会や組織に対して大きな功績を残したことを意味します。
競走馬は現役時代、多くのレースでファンを魅了し、競馬界を盛り上げてきました。
その功績をたたえ、引退後も安心して暮らせる環境を整えるために功労馬という考え方があります。
例えば、オグリキャップやナイスネイチャなど、多くのファンに愛された名馬は、引退後も功労馬として余生を送りました。
現在も全国各地の牧場で、多くの功労馬が穏やかな余生を送っています
引退競走馬には繁殖馬や乗馬など新たな仕事に就く馬もいますが、功労馬は「第二の仕事」を持つというよりも、これまでの功績に感謝しながら余生を過ごす存在といえるでしょう。
また、功労馬は競馬ファンが見学できる牧場で暮らしていることもあり、多くの人が現役時代を思い出しながら再会を楽しんでいます。
| 区分 | 主な役割・目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 功労馬 | 過去の功績をたたえ、余生を穏やかに過ごす | これまでの貢献に対する感謝として繋養される |
| 繁殖馬 | 次の世代の競走馬を生み出す役割を担う | 種牡馬や繁殖牝馬として生産牧場などで活動する |
| 乗馬・その他 | リトレーニングを経て乗馬クラブや新たな仕事に就く | 人を乗せる訓練を受け、セカンドキャリアを歩む |

功労馬は現役時代の功績をたたえられながら、穏やかな余生を送る存在なのですね。
功労馬は引退後の進路の一つですが、競走馬にはほかにも繁殖馬や乗馬など、さまざまなセカンドキャリアがあります。引退後の全体像について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶競走馬の引退後はどうなる?セカンドキャリアや支援の現状をわかりやすく紹介
功労馬になる条件とは?すべての引退馬がなれるわけではない現実
功労馬は、すべての引退競走馬がなれるわけではありません。ここでは、功労馬として繋養される主な条件や、その背景にある現実について紹介します。
功労馬として繋養される馬は、GⅠや重賞レースで優れた成績を残した名馬が中心です。
長年にわたり競馬界へ貢献した馬や、多くのファンに愛された馬なども対象になることがあります。
そのため、競走成績だけではなく、人気や知名度、血統的価値、競馬への貢献度なども総合的に考えられる場合があります。
現役時代にテレビや新聞で何度も取り上げられた名馬が、引退後に功労馬として生活しているケースも少なくありません。
一方で、すべての引退競走馬が功労馬になれるわけではなく、毎年数千頭が引退する中でその進路はそれぞれ異なります。
功労馬として長く暮らすには、牧場の維持費や飼育費、人件費など多くの費用が必要になります。
そのため、関係者や支援団体、ファンの協力が欠かせません。
競走馬が安心して余生を送ることは決して当たり前ではなく、多くの人の支えによって成り立っていることを知っておくことが大切です。
| 考慮される要素 | 具体的な内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 競走成績 | GⅠレースの優勝や重賞での活躍など | 明確な実績が基準となることが多いです |
| 貢献度・人気 | 多くのファンに愛され競馬界を盛り上げた実績 | 知名度や話題性なども総合的に判断されます |
| 維持管理の課題 | 牧場の維持費や飼育費などの費用確保 | 関係者やファンの支えが不可欠となります |



実績だけでなく、多くの費用や支えが必要になるという現実がありますね。
功労馬はどんな生活を送る?牧場での日々とファンとの交流
功労馬は引退後、どのような毎日を過ごしているのでしょうか。牧場での生活や健康管理、ファンとの交流など、穏やかな余生の様子を見ていきましょう。
功労馬の多くは、広い放牧地でのんびりと生活しています。
朝は放牧地へ出て青草を食べたり仲間と過ごしたりし、夕方になると厩舎へ戻るという生活を送る牧場も少なくありません。
現役時代のように毎日の厳しい調教やレースはなく、馬本来の穏やかな生活を送れる環境が整えられています。
もちろん、高齢になると健康管理がより重要になるため、牧場スタッフや獣医師が体調を確認しながら生活を支えています。
また、功労馬の中には一般公開されている牧場で暮らしている馬もおり、マナーを守った見学を通じてファンとの交流が行われています。
見学に訪れたファンは、現役時代の思い出を振り返ったり、馬の穏やかな姿を見たりして過ごします。
こうしたファンとの交流やイベントが、グッズ購入や寄付などを通じて馬たちの生活費を支える力にもなっています。
| 生活環境・過ごし方 | ファン見学時の主なマナー | 注意点 |
|---|---|---|
| 広い放牧地でのんびり過ごす | 大きな声や音を出さない | 馬が驚いてケガをするのを防ぎます |
| 厳しい調教はなく健康管理が中心 | 勝手にエサを与えない | 健康状態や体調管理を崩さないためです |
| 朝に放牧され、夕方に厩舎へ戻る | 牧場スタッフの案内に従う | 安全に見学を行うための基本ルールです |



のんびりとした暮らしを守るためにも、見学マナーの徹底が大切ですね。
功労馬を支える制度と具体的な支援の仕組み
功労馬が安心して暮らせる背景には、多くの制度や支援があります。ここでは代表的な取り組みと、その仕組みについて紹介します。
競走馬が功労馬として安心して余生を送るためには、多くの人や団体による支えが欠かせません。
その代表的な取り組みの一つが、JAIRS(公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル)が実施する「功労馬繋養展示事業」です。
この事業では、競馬や馬産の発展に貢献した功労馬が適切な環境で生活できるよう支援するとともに、一般公開を通じて馬とファンが触れ合える機会づくりも行われています。
また、引退競走馬を受け入れる牧場や支援団体では、日々の飼育や健康管理、施設の維持など多くの費用が必要です。
一頭の馬を飼育するには、牧草や飼料代だけでなく、獣医師による診療費や装蹄(そうてい)費、厩舎の管理費などもかかります。
そのため、多くの団体では寄付や会員制度、ふるさと納税などを通じた支援を募っており、それらが功労馬の穏やかな暮らしを支える大きな力になっています。
| 支援の仕組み | 具体的な内容 | 目的・効果 |
|---|---|---|
| 功労馬繋養展示事業 | JAIRSによる助成金の交付や情報公開 | 適切な環境での生活支援とファンとの機会創出 |
| 支援団体への寄付・会員制 | ファンやサポーターによる金銭的支援 | 日々の飼料代や診療費などの運営費に充当 |
| ふるさと納税の活用 | 自治体を介した引退馬支援プロジェクト | 税制上の優遇を受けつつ馬の未来を支える |



JAIRSの事業だけでなく、多様な支援の仕組みが存在しているのですね。
功労馬を支える仕組みを知ると、引退競走馬全体への支援についても気になる方が多いでしょう。支援の方法や活動内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶引退馬支援とは?私たちにできる支援方法や寄付の始め方をわかりやすく解説
私たちにできる応援!手軽に始められる4つの方法
功労馬を支える方法は、寄付だけではありません。身近なことから始められる応援方法を知り、無理のない範囲で馬たちの未来を支えていきましょう。
功労馬を支える方法は、決して特別なものばかりではありません。
競馬ファンはもちろん、馬が好きな方なら誰でもできる応援があります。
具体的には、「見学に行く」「寄付や支援制度の利用」「グッズの購入」「SNSでの発信」といった方法があります。
公開されている牧場へ足を運ぶ際は、ルールを遵守して静かに見守ることが大切です。
また、支援団体が設けているサポーター制度や自治体のふるさと納税を利用すれば、少額からでも馬たちの生活を支える力になります。
さらに、Tシャツやカレンダーなどのオリジナルグッズを購入することでも、売上の一部が生活費に充てられる場合があります。
近年では、SNSで牧場の様子や活動をシェアすることも、新たな支援者との出会いにつながる立派な応援方法として注目されています。
| 応援方法 | 行動のポイント | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 見学に行く | 牧場ごとのルールを守り静かに見守る | 現役時代の思い出を振り返る機会になります |
| 寄付や支援制度を利用する | サポーター登録やふるさと納税の活用 | 日々の飼育費や医療費の直接的な支えになります |
| グッズを購入する | カレンダーやTシャツなどの購入 | 売上の一部が功労馬の維持管理費に充てられます |
| SNSで活動を広める | 牧場の投稿をシェアしたり感想を発信したりする | 認知度が向上し、新たな支援の輪が広がります |



身近なSNSでのシェアやグッズ購入も、大切な応援の一歩になりますね。
「実際に応援してみたい」と思った方は、引退競走馬を支援している団体を知ることから始めるのがおすすめです。それぞれの特徴や活動内容をまとめた記事もぜひ参考にしてください。
▶おすすめ引退馬支援団体5選|自分に合った支援方法の選び方も解説
功労馬から考える、競走馬の幸せな引退後とは
功労馬という制度を知ると、競走馬の一生に対する見方が少し変わるかもしれません。ここでは、馬ファンとして感じたことや、馬たちの未来について考えてみます。
競走馬は、現役時代に多くの感動や夢を私たちへ届けてくれます。
しかし、レースを引退した瞬間にその役目が終わるわけではありません。
功労馬という存在を知ることで、「競馬はレースだけではない」という新たな視点に気付く人も多いでしょう。
現役時代に応援していた馬が、のんびりと草を食べ、穏やかな時間を過ごしている姿を見ると、競走馬にも幸せな第二の人生があることを実感できます。
そして、その暮らしは牧場や支援団体だけでなく、多くのファンの応援によって支えられています。
競馬を楽しむだけでなく、引退後の馬たちにも目を向けることが、競馬文化を未来へつないでいく大切な一歩になるのではないでしょうか。
私たちがどのような視点を持って馬たちと向き合うべきか、そのバランスを整理してみます。
| 視点 | 整理の仕方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 文化としての競馬 | レースの勝敗だけでなく、馬の生涯全体を見守る | すべての馬が功労馬になれるわけではない現実も知る |
| ファンと牧場の関係 | 支援や見学を通じて双方向で支え合う環境を作る | 牧場は観光地ではなく馬の生活の場であることを忘れない |
| 持続可能な支援 | 無理のない範囲で寄付やグッズ購入などを継続する | 一時的なブームに終わらせず、長期的な視点を持つ |



馬の生涯全体を見守る視点を持つことが、文化の発展に繋がりそうです。
功労馬についてよくある質問
功労馬について調べる中で、多くの方が疑問に思う内容をまとめました。記事のおさらいとしても、ぜひ参考にしてください。
- 功労馬と乗馬は何が違いますか?
-
功労馬は、競馬や馬産への功績をたたえられ、引退後は主に余生を穏やかに過ごす馬です。
一方、乗馬は人を乗せる仕事を続けるため、リトレーニングを受けて新たな役割を担うという違いがあります。
- 功労馬には誰でも会えますか?
-
牧場によって対応は異なります。
一般公開している牧場もあれば、見学日を限定している施設や事前予約が必要な場合もあります。
訪問前には、必ず公式サイトやSNSで最新情報を確認しましょう。
- 功労馬はどれくらい長生きしますか?
-
馬の寿命には個体差がありますが、一般的には25~30歳前後まで生きる馬もいます。
適切な飼育や健康管理が行われることで、穏やかな老後を過ごす功労馬も多く見られます。
まとめ
功労馬とは、競馬や馬産の発展に大きく貢献した馬が、引退後に穏やかな余生を送るために大切に繋養されている馬のことです。
すべての引退競走馬が功労馬になれるわけではなく、多くの馬は繁殖馬や乗馬、リトレーニングなど、それぞれ異なるセカンドキャリアを歩みます。
その中でも功労馬は、多くの人に夢や感動を届けた名馬として、その功績をたたえられながら暮らしています。
また、功労馬の生活は、牧場や支援団体だけではなく、寄付や見学、グッズ購入、SNSでの発信など、多くの人の支えによって成り立っています。
競馬を楽しむだけでなく、引退後の馬たちにも目を向けることで、競馬の魅力をより深く知ることができるでしょう。
ぜひこの機会に功労馬について知り、自分にできる方法で馬たちの未来を応援してみてはいかがでしょうか。
※掲載している支援方法や制度は変更される場合があります。最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。
※本記事はJRA・引退馬協会・JAIRSなどの公開情報をもとに作成し、筆者の見解を交えて構成しています。
出典・参考資料
功労馬について理解が深まった方は、引退競走馬のセカンドキャリアや支援制度についてもあわせて読むことで、馬たちの未来への理解がさらに深まります。ぜひ以下の記事もご覧ください。

















