エンネの血統は、父キズナ、母ルパンⅡ、母父メダグリアドーロという配合です。
母ルパンⅡからは、共同通信杯を勝ったファントムシーフや、アーリントンカップを制したディスペランツァも誕生しています。
さらに祖母プロミシングリードは海外GⅠ勝ち馬で、エンネ自身にはノーザンダンサー5×5×5とダマスカス4×5のクロスがあります。
この記事では、エンネの父系・母系・兄弟・牝系・クロスを整理し、半兄ファントムシーフとの配合の違いについても考察します。
この記事でわかること
- エンネの父・母・母父と血統構成
- 父キズナの血統背景
- ファントムシーフやディスペランツァとの兄弟関係
- 祖母プロミシングリードから広がる牝系
- ノーザンダンサーとダマスカスのクロス
- 半兄ファントムシーフとの配合の違い
エンネの血統は?父キズナ×母ルパンⅡ
エンネは、2023年4月11日生まれの黒鹿毛の牝馬です。
父は日本ダービー馬キズナ、母は米国産のルパンⅡ。母父にはメダグリアドーロが入っています。
主要な血統を整理すると、次のようになります。
| 関係 | 馬名 |
|---|---|
| 父 | キズナ |
| 父父 | ディープインパクト |
| 父母 | キャットクイル |
| 母 | ルパンⅡ |
| 母父 | メダグリアドーロ |
| 母母 | プロミシングリード |
| 母母父 | デインヒル |
父側にはディープインパクトとキャットクイル、母側にはメダグリアドーロとプロミシングリードが配置されています。
まずは、それぞれの血統背景を見ていきましょう。

父キズナと母ルパンⅡ。それぞれの祖先をたどると、国内外のさまざまな名馬につながっているのですね。
父キズナはディープインパクト×キャットクイル
エンネの父キズナは、2013年の日本ダービーを制した競走馬です。
父ディープインパクト、母キャットクイルという血統で、サンデーサイレンスにつながる父系を持っています。
父父ディープインパクトからサンデーサイレンスへ
キズナの父ディープインパクトは、2005年のクラシック三冠馬です。
その父はサンデーサイレンスで、母はウインドインハーヘア。
エンネはキズナを通じて、ディープインパクトからサンデーサイレンスへ続く父系を受け継いでいます。
また、ウインドインハーヘアの父はアルザオで、その父リファールを通じてノーザンダンサーにもつながります。
父母キャットクイルはストームキャット産駒
キズナの母キャットクイルは、父ストームキャット、母パシフィックプリンセスという血統です。
ストームキャットはストームバードを父に持ち、パシフィックプリンセスの父はダマスカスです。
つまりキズナの血統には、ディープインパクトだけでなく、キャットクイルを通じて受け継ぐ米国血統の流れもあります。
このキャットクイル側の祖先は、エンネの5代血統表に現れるクロスにも関係しています。
母ルパンⅡはメダグリアドーロ×プロミシングリード
エンネの母ルパンⅡは、2014年生まれの米国産牝馬です。
父はメダグリアドーロ、母はプロミシングリード。異なる地域で活躍した血統が組み合わされています。
母父メダグリアドーロはサドラーズウェルズ系
メダグリアドーロは、米国のトラヴァーズステークスやホイットニーハンデキャップなど、GⅠを複数勝った競走馬です。
その父はエルプラドで、さらにサドラーズウェルズへとつながります。
母カプチーノベイの父はベイルジャンパーです。
エンネの母父には、サドラーズウェルズの父系と、ベイルジャンパーを含む母系が組み合わされています。
母母プロミシングリードはデインヒル産駒
ルパンⅡの母プロミシングリードは、2004年生まれの英国産牝馬です。
父はデインヒル、母はアライヴ。
デインヒルの父はダンチヒで、アライヴの父はカヤージです。
この組み合わせは、後ほど比較するファントムシーフの血統を理解するうえでも重要になります。
エンネの兄弟にはファントムシーフやディスペランツァ
エンネの母ルパンⅡからは、父の異なる複数の活躍馬が誕生しています。
特に注目したいのが、重賞勝ち馬のファントムシーフとディスペランツァです。
半兄ファントムシーフは共同通信杯を制覇
2020年生まれのファントムシーフは、父ハービンジャー、母ルパンⅡという血統です。
2023年の共同通信杯で重賞初制覇を果たし、皐月賞では3着に入りました。
同年の神戸新聞杯でも3着となり、クラシック世代の重賞戦線で実績を残しています。
エンネとは母が同じで父が異なるため、半兄にあたります。
半兄ディスペランツァはアーリントンCを制覇
2021年生まれのディスペランツァも、ルパンⅡの産駒です。
父はルーラーシップで、2024年のアーリントンカップを制覇しました。
ファントムシーフとは異なる父を持ちながら、こちらも重賞勝ち馬となっています。
母ルパンⅡの産駒一覧
母ルパンⅡの産駒を一覧にすると、次のようになります。
| 馬名 | 生年 | 父 | 主な実績 |
|---|---|---|---|
| ルピナスリード | 2019年 | ダイワメジャー | 中央4勝 |
| ファントムシーフ | 2020年 | ハービンジャー | 共同通信杯GⅢ・1着 |
| ディスペランツァ | 2021年 | ルーラーシップ | アーリントンC GⅢ・1着 |
| ギフテッド | 2022年 | モーリス | 中央2勝 |
| エンネ | 2023年 | キズナ | フローラS・ローズSともに2着 |
| ルパンⅡの2025 | 2025年 | ロードカナロア | 未出走 |
※執筆時点で確認できる競走実績を記載しています。
ルピナスリードも中央4勝を挙げており、ルパンⅡは異なる種牡馬との配合から複数の活躍馬を送り出していることが分かります。



父が違っても重賞を勝った兄弟がいるのですね。エンネの血統を考えるうえでも、母ルパンⅡの繁殖実績は見逃せません。
エンネの牝系は海外GⅠ馬プロミシングリードにつながる
エンネの母系には、海外の重賞で実績を残した牝馬が複数います。
ここでは血統の構成ではなく、母から娘へと続く牝系の実績と広がりを紹介します。
祖母プロミシングリードはプリティポリーSの勝ち馬
エンネの母方の祖母プロミシングリードは、海外で4勝を挙げた牝馬です。
2008年のプリティポリーステークスでGⅠ制覇を果たし、ミドルトンステークスGⅢでも優勝しました。
さらにオペラ賞GⅠでは2着に入っています。
母方の祖母自身が海外GⅠ勝ち馬であることは、エンネの牝系を知るうえで重要なポイントです。
曽祖母アライヴからケラリへ続く牝系
プロミシングリードの母は、海外3勝を挙げたアライヴです。
さらにアライヴの母はケラリ。
エンネまでの母系をたどると、次のようになります。
ケラリ → アライヴ → プロミシングリード → ルパンⅡ → エンネ
ケラリからは、アライヴの全姉にあたるハシリも誕生しています。
ハシリはダンシリなどを送り出した繁殖牝馬で、欧州の競馬史でも知られる一族につながります。
このハシリとアライヴの姉妹関係は、半兄ファントムシーフの配合を読み解く際にも重要です。
母の半妹ローレルも海外重賞で好走
プロミシングリードの産駒には、ルパンⅡのほかにローレルもいます。
2019年生まれのローレルは、父キングマンの牝馬です。
海外で3勝を挙げ、スノードロップステークスに優勝。サンチャリオットステークスGⅠでは2着に入りました。
ローレルはエンネから見ると、母ルパンⅡの半妹にあたります。
祖母の産駒にも重賞で好走した馬がいることから、エンネの母系は複数の世代で実績馬を送り出している牝系といえます。
エンネにはノーザンダンサー5×5×5のクロスがある
エンネの5代血統表には、同じ祖先が複数回登場するクロスがあります。
確認できる主なクロスは、次の2つです。
| クロス | 血量 |
|---|---|
| ノーザンダンサー5×5×5 | 約9.38% |
| ダマスカス4×5 | 約9.38% |
※クロスは同じ祖先が血統表に複数回現れることを指します。血量は出現世代に基づく計算上の割合です。
ノーザンダンサー5×5×5とは?
エンネの5代血統表では、ノーザンダンサーが5代前に3回登場します。
その経路は、次の3本です。
- 父側:キャットクイルからストームキャット、ストームバードを経由
- 母側①:メダグリアドーロからエルプラド、サドラーズウェルズを経由
- 母側②:プロミシングリードからデインヒル、ダンチヒを経由
父側1本、母側2本が重なることで、ノーザンダンサー5×5×5・血量約9.38%となっています。
ダマスカス4×5も持つ
もう一つのクロスが、ダマスカス4×5です。
父側ではキャットクイルの母パシフィックプリンセスを通じて、母側ではメダグリアドーロの母カプチーノベイからベイルジャンパーを通じて、ダマスカスにつながります。
これにより、ダマスカス4×5・血量約9.38%のクロスが生じています。
ただし、クロスがあることだけで競走能力や距離適性が決まるわけではありません。
どの祖先が父母の双方に配置されているのかを知るための材料として捉えることが大切です。
血統全体から見えるエンネの特徴を考察
ここからは、エンネと半兄ファントムシーフの5代血統表を比較した筆者の考察です。
注目したいのは、母ルパンⅡが持つ祖先のうち、父側から再び重なる祖先が、2頭の間で異なっていることです。
ファントムシーフは母系の祖先を父側からも重ねる配合
ファントムシーフの父ハービンジャーは、父ダンシリ、母ペナンパールという血統です。
ダンシリの父はデインヒル。一方、母ルパンⅡの母プロミシングリードもデインヒル産駒です。
そのためファントムシーフには、デインヒル3×3・血量25%のクロスがあります。
さらに興味深いのが、ハシリとアライヴの関係です。
ダンシリの母ハシリと、プロミシングリードの母アライヴは、どちらもカヤージとケラリを父母に持つ全姉妹です。
ファントムシーフの血統表では、この全姉妹が父側と母側の3代目に配置されています。
これは同一馬が重なる通常のクロスとは異なるため、ハシリとアライヴという全姉妹を3×3で重ねた特徴的な配合として区別する必要があります。
同一馬のクロスとして見ると、両馬の父カヤージと母ケラリが、それぞれ4×4で重なっています。
つまりファントムシーフは、母系に存在するデインヒルとアライヴに近い血統を、父ハービンジャー側からも重ねる構成です。
エンネは半兄とは異なる祖先を重ねている
一方、エンネの父キズナは、ディープインパクトとキャットクイルの産駒です。
父側にあるストームキャットやパシフィックプリンセスの血統が、母ルパンⅡ側と組み合わされることで、ノーザンダンサーとダマスカスのクロスが生じています。
両馬の主な血統構造を比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | エンネ | ファントムシーフ |
|---|---|---|
| 父 | キズナ | ハービンジャー |
| 母 | ルパンⅡ | ルパンⅡ |
| 主なクロス① | ノーザンダンサー5×5×5 | デインヒル3×3 |
| 主なクロス② | ダマスカス4×5 | カヤージ4×4・ケラリ4×4 |
| その他の特徴 | 父側と母側で異なる祖先が重なる | 全姉妹ハシリ・アライヴが3×3で配置される |
※表では主なクロスを比較しています。ファントムシーフには、このほかにもノーザンダンサーのクロスがあります。ハシリ・アライヴの組み合わせは、同一馬のクロスとは区別して記載しています。
ファントムシーフでは、母系にもともと存在するデインヒルに加え、全姉妹ハシリとアライヴの共通の祖先が、父側からも比較的近い世代で重なっています。
これに対しエンネは、キズナ側の祖先とルパンⅡ側の祖先が、主に4代目から5代目で重なる構造です。
つまり、同じ母を持つ半兄妹でも、母系のどの祖先を父側から重ねるかによって、血統表の構成は大きく変わることが分かります。
ただし、クロスの世代や組み合わせの違いが、そのまま競走能力の差につながるとは断定できません。
エンネを単に「ファントムシーフの妹」として見るだけでなく、母ルパンⅡの血統を共有しながら、父キズナによって別の祖先を重ねた配合として捉えると、この半兄妹の血統の違いがより明確になるのではないでしょうか。



同じルパンⅡの産駒でも、父が変わるとクロスの構造が大きく変わるのですね。エンネとファントムシーフを比較すると、配合の違いがよく分かります。
エンネの血統に関するよくある質問
- エンネはファントムシーフの全妹ですか?
-
全妹ではなく、異父妹です。
母はともにルパンⅡですが、エンネの父はキズナ、ファントムシーフの父はハービンジャーです。
- エンネの牝系は何号族ですか?
-
エンネは、ファミリーナンバー11号族に属します。
母系をたどると、ルパンⅡ、プロミシングリード、アライヴ、ケラリへとつながります。
まとめ|エンネは重賞馬を送り出す母系にキズナを配した血統
エンネの血統は、父キズナ、母ルパンⅡ、母父メダグリアドーロという配合です。
母ルパンⅡからは、共同通信杯を勝ったファントムシーフや、アーリントンカップを制したディスペランツァが誕生しています。
祖母プロミシングリードも海外GⅠ勝ち馬で、ケラリから続く牝系には複数の実績馬がいます。
エンネ自身にはノーザンダンサー5×5×5とダマスカス4×5のクロスがあり、半兄ファントムシーフとは異なる血統構造を持っています。
重賞馬を送り出してきた母系を共有しながら、父キズナとの配合によって独自の血統構造を持つことが、エンネの血統を知るうえで注目したいポイントです。
【応援のその先へ】一頭でも多くの馬が幸せな未来を歩めるように
ターフを一生懸命に駆け抜ける馬たちの姿は、私たちに言葉以上の感動と勇気を届けてくれます。
そんな彼らが現役を退いたあとも、穏やかで幸せな時間を過ごせる場所を守ることは、競馬を愛する私たちにできる大切な「恩返し」だと考えています。
一頭でも多くの馬が、輝かしい競走生活のあとも、温かなセカンドキャリアを歩める未来を願っています。
この記事を通じて、引退馬支援の輪が少しでも広がることを心より願っています。
私たちにできる小さな一歩が、一頭でも多くの馬の未来につながります。まずは、できることから始めてみませんか。


※本記事は執筆時点に公開された血統表・牝系図・競走成績をもとに作成しています。クロスの比較や配合上の特徴には、公開資料を整理した筆者の考察を含みます。血統構造だけから競走能力を断定するものではありません。
出典・参考資料
- 日本中央競馬会「競走馬情報 エンネ」
- ジェイビスサーチ「エンネ 5代血統表・クロス」
- ジェイビスサーチ「ファントムシーフ 5代血統表・クロス」
- ネットケイバ「エンネ 血統表・兄弟・牝系図」
- ネットケイバ「ファントムシーフ 血統表」
- ネットケイバ「ルパンⅡ 血統表・牝系図」
- ネットケイバ「ファントムシーフの特徴的な配合に関する血統コラム」
【エンネをもっと知ろう】
エンネの脚質や気性については、それぞれの関連記事で詳しく紹介します。




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