ジョバンニの性格を知るうえで注目したいのは、杉山晴紀調教師と松山弘平騎手が伝えてきた言葉です。
2歳時から真面目で扱いやすいと評価されてきたジョバンニですが、競馬では気持ちが前に出やすく、折り合いに苦労した時期もありました。
この記事では、杉山厩舎での調教、香港遠征での経験、松山騎手が感じた変化を時系列でたどり、ジョバンニの性格と精神面の成長を紹介します。
騎手が乗ると気持ちのスイッチが入りやすい一頭。杉山厩舎での調整を重ね、前に行っても我慢できる姿を見せるようになりました。
ジョバンニの性格は?『競走馬の鏡』と評された真面目さ
ジョバンニは、栗東・杉山晴紀厩舎に所属する、真面目で一生懸命な競走馬です。
2024年12月のホープフルS前、杉山調教師はジョバンニについて、普段はあまり暴れず、飼葉もしっかり食べると説明しています。
環境の変化にも過敏に反応しにくいと評価しており、2歳時から日常生活での落ち着きが伝えられていました。
さらに2025年4月の皐月賞前には、持っている力をいつも一生懸命に出そうとする姿勢を、「競走馬の鏡」と表現しています。
この言葉から分かるのは、ジョバンニが単におとなしい馬ではなく、走ることに真剣に取り組む姿勢も高く評価されていたことです。
また、杉山調教師は新馬戦の頃から完成度が高く、2歳馬としてはしっかりしている印象があったことも明かしています。
日常の落ち着きと、一生懸命に走ろうとする真面目さ。この2つが、若い頃から伝えられてきたジョバンニの特徴です。

「競走馬の鏡」という言葉には、ジョバンニの一生懸命な姿を見てきた杉山調教師の思いが感じられますね。
騎手が乗るとスイッチが入る?ジョバンニの折り合いの課題
普段は落ち着いているジョバンニですが、競馬へ向かう場面では気持ちが入りやすい一面もあります。
2025年の皐月賞前、杉山調教師は、ジョッキーが乗るとジョバンニのスイッチが入りやすいと説明していました。
そのため、レース当週の最終追い切りでは、松山騎手ではなく厩舎スタッフが騎乗しています。
当日の追い切りでは、適度にリラックスしながら前向きさも見せ、折り合いがついていたと評価されました。
つまり、当時から毎回折り合いを欠いていたわけではありません。場面や調整の仕方によって、気持ちの入り方に違いがあったと考えるのが自然です。
3歳時には折り合いに苦労したことも
折り合いとは、馬が必要以上に力まず、騎手の働きかけに応じて無理のないリズムで走ることです。
ジョバンニは2025年のクラシック戦線を経験するなかで、折り合いが課題となる時期もありました。
2026年10月31日付のデイリースポーツでは、大久保助手が3歳時の状況を振り返り、当時は折り合いに苦労していたことを明かしています。
また、2025年の日本ダービーでは、レース前のパドックでイレ込む様子も見られました。
ただし、一度のイレ込みや力んだ走りだけで、ジョバンニの性格を「荒い」と決めつけることはできません。
普段の扱いやすさと、実戦で気持ちが高ぶることは別の問題だからです。
ジョバンニには、もともとの真面目さに加え、競馬へ向かう前向きな気持ちをどのようにコントロールするかという課題があったのです。
杉山厩舎で続けられたジョバンニの折り合い改善
ジョバンニの精神面の変化を知るうえで欠かせないのが、杉山厩舎での日々の調教です。
2026年10月31日付のデイリースポーツでは、大久保助手が、ジョバンニの頭の高さや折り合いの改善に向けた取り組みを説明しています。
杉山調教師は普段の調教で自ら手綱を取り、折り返し手綱も活用しながら調整を続けてきました。
折り返し手綱は、馬の頭の位置や姿勢の調整を補助するために使われる馬具です。
大久保助手によると、杉山調教師は折り返し手綱を使った頭の高さの調整に長けており、その技術もジョバンニの調教に生かされてきました。
そして2026年10月30日の調教では、以前からの課題だった頭の高さが目立たず、落ち着いて坂路を駆け上がる様子が報じられています。
もちろん、頭の位置が変わったことだけで、精神面のすべてが改善したとは言い切れません。
また、変化の理由を折り返し手綱だけに求めることも適切ではないでしょう。
それでも、杉山調教師自身が調教に騎乗し、ジョバンニの課題に合わせた取り組みを続けてきたことは、関係者の証言から確認できます。
競馬場ではなかなか見えない、厩舎での具体的な取り組みを知ることができるエピソードです。



杉山調教師自身が手綱を取り、ジョバンニに合った調整を続けてきたことが印象的ですね。
香港遠征で見せたジョバンニの繊細な一面
ジョバンニは2026年4月、香港のシャティン競馬場で行われたクイーンエリザベスⅡ世カップに出走しました。
初めての海外遠征では、輸送中と現地到着後で異なる様子が伝えられています。
海外輸送中は予想以上に落ち着いていた
JRAが2026年4月19日に公表した情報によると、大久保助手は、ジョバンニが初めての海外輸送を予想以上に落ち着いてこなしたと説明しています。
長時間の移動という慣れない経験にも、輸送中は比較的穏やかに対応できていたことが分かります。
香港到着後は飼葉を食べる量が減少
一方、現地に到着してからは、環境に慣れるまで時間がかかったことが後に報じられました。
2026年7月のスポニチの記事によると、レース3日前まで飼葉を食べる量が少なく、レース当日の馬体重は前走から12kg減の470kgでした。
大久保助手も、初めての海外で調整の難しさを感じたと振り返っています。
輸送中は落ち着いていても、現地での生活には慣れる時間が必要だったことがうかがえます。
そのため、ジョバンニを「環境が変わってもまったく動じない馬」と表現するのは正確ではありません。
移動への対応と、初めての土地で過ごすことへの反応が異なっていた点は、ジョバンニの気性を知るうえで興味深い記録です。



輸送を落ち着いてこなした一方、香港での生活には苦労もあったんですね。ジョバンニの繊細な一面が伝わります。
松山弘平騎手が感じたジョバンニの精神面の成長
ジョバンニの変化を長く見てきた人物の一人が、主戦の松山弘平騎手です。
2024年12月の杉山調教師のコメントによると、松山騎手は新馬戦前の追い切りで初めて騎乗した頃から、ジョバンニに好印象を持っていました。
その後もコンビを組み、さまざまなレースを経験してきた松山騎手が、2026年には以前との違いを具体的に評価しています。
以前より折り合いがつき、乗りやすくなった
2026年9月9日のラジオNIKKEIの取材では、杉山調教師が、1週前の追い切りに騎乗した松山騎手の感想を紹介しています。
松山騎手は、それまでと比べて道中の折り合いがつくようになり、乗りやすさも改善したと評価していました。
また、杉山調教師も、春の香港遠征を経験したことが精神面の成長につながったと考えていることを明かしています。
チャレンジCでは前に行っても我慢できる姿を見せた
2026年9月12日、ジョバンニは阪神競馬場のチャレンジカップで重賞初勝利を挙げました。
レースでは好位の後ろから進み、道中は折り合いをつけながら、直線で抜け出しました。
レース後、松山騎手は、以前より精神面が成長し、少し前の位置を取りにいっても我慢できるようになったことを評価しています。
ここで注目したいのは、単に勝ったという結果ではありません。
長く騎乗してきた松山騎手が、以前との違いを「我慢できるようになった」という具体的な行動で説明していることです。
ジョバンニが重ねてきた経験を、騎乗する人の視点から知ることができるエピソードといえるでしょう。



デビュー前からジョバンニを知る松山騎手だからこそ、以前との違いを感じ取れたのかもしれませんね。
ジョバンニの気性を考察|真面目さと折り合いの難しさは矛盾しない
ここからは、杉山調教師や松山騎手、厩舎スタッフのコメントを比較した筆者の考察です。
ジョバンニの気性で私が特に興味深いと感じるのは、一生懸命に走ろうとすることと、騎手の求めるタイミングまで力を抑えることは別の能力だと分かる点です。
杉山調教師は、若い頃からジョバンニの真面目さを高く評価してきました。
しかし、真面目だからといって、競馬でいつも理想どおりに走れるわけではありません。
競走馬にとって、速く走ろうとする気持ちは大切です。一方で、騎手がまだ加速を求めていない場面では、その気持ちを抑える必要もあります。
ジョバンニの場合、この2つの間に難しさがあったのではないでしょうか。
ここで重要なのは、折り合いが改善したことを、単純に「おとなしい馬になった」と捉えないことです。
松山騎手が伝えたのは、前の位置を取りにいっても我慢できるようになったという変化でした。
つまり、積極的に走ることをやめたのではなく、前へ進もうとする気持ちと、騎手の働きかけに応じることを両立しやすくなったと考えられます。
これは、ジョバンニが持つ真面目さの表れ方が、経験を通して変化してきたと見ることもできそうです。
もちろん、馬自身が何を考えて走っているのかは分かりません。調教による変化についても、すべての理由を外部から判断できるわけではありません。
それでも、同じ馬について、若い頃と現在の関係者コメントを比較することで、単なる「優等生」という言葉だけでは見えなかった姿が浮かび上がってきます。
ジョバンニの魅力は、真面目であることに加え、その真面目さを競馬の中でどう生かすか、厩舎や騎手とともに経験を積み重ねてきたところにあるのではないでしょうか。
一つの性格を表す言葉だけでなく、時間とともに変わっていく行動にも注目すると、ジョバンニという馬をより深く知ることができます。
ジョバンニの気性に関するよくある質問
- ジョバンニは気性が荒い馬ですか?
-
普段は真面目で、暴れることも少ないと評価されてきた馬です。ただし、競馬では気持ちが入りやすく、折り合いが課題となった時期もあります。日常の性格と競馬中の反応は分けて考える必要があります。
- ジョバンニは騎手が乗ると性格が変わるのですか?
-
杉山調教師は2025年の皐月賞前、騎手が乗るとジョバンニのスイッチが入りやすいと説明しています。ただし、実際に性格そのものが変わるという意味ではなく、競馬へ向かう場面で気持ちが入りやすい特徴として捉えるのが自然です。
- 香港遠征がジョバンニの精神面の成長につながったのですか?
-
杉山調教師や厩舎スタッフは、香港遠征後の精神面の変化を評価しています。ただし、成長の理由が遠征だけにあると断定することはできません。日々の調教や競走経験も含めて考える必要があります。
まとめ
ジョバンニは、杉山晴紀調教師から「競走馬の鏡」と評された、真面目で一生懸命な競走馬です。
普段は落ち着いている一方、競馬では折り合いに苦労した時期もありました。その課題に対し、杉山厩舎では調教を工夫し、松山弘平騎手も精神面の変化を評価しています。
ジョバンニの気性を知るには、「おとなしい」「真面目」という言葉だけでなく、関係者が伝えてきた行動の変化にも目を向けることが大切です。
これからも一頭の馬としての個性を大切にしながら、ジョバンニの歩みを見守っていきたいですね。
【応援のその先へ】引退馬たちの幸せな未来のために
ターフを駆け抜け、私たちに感動を届けてくれる競走馬たち。現役を退いたあとも、穏やかに過ごせる未来を願っています。
一頭でも多くの馬の幸せにつながるように。引退馬支援について、私たちにできることから考えてみませんか。


※本記事は、JRA・ラジオNIKKEI・競馬メディアなどが公開した関係者コメントをもとに作成しています。気性や行動の背景に関する考察には筆者の見解を含みます。馬の感情や調教による変化の原因を断定するものではありません。2026年11月5日時点で確認できる情報を参照しています。
出典・参考資料
- ラジオNIKKEI「【ホープフルS】栗東レポート ジョバンニ・杉山晴紀調教師」(2024年12月25日)
- ラジオNIKKEI「【皐月賞】栗東レポート ジョバンニ・杉山晴紀調教師」(2025年4月16日)
- JRA「2026香港チャンピオンズデー出走予定馬の現地到着」(2026年4月19日)
- netkeiba・スポニチ「【小倉記念】ジョバンニ 香港遠征帰りから立て直し」(2026年7月)
- ラジオNIKKEI「【チャレンジC】栗東レポート ジョバンニ・杉山晴紀調教師」(2026年9月9日)
- 日刊スポーツ「ジョバンニ重賞初勝利 松山騎手が精神面の成長を評価」(2026年9月12日)
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